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同伴避難専用避難所2

災害時に飼い主とペット専用の避難所を作る事について、前回は動物愛護がそれを求める事に対しての危険性を書きましたが、今回は「地域コミュニティ」についてです。
あまり知られていませんが、熊本県は熊本地震の際、熊本市のサッカースタジアムにペット専用避難所が作っていました。
同じ室内ではありませんが、同じ建物内でペットと飼い主が共に暮らせる形で、同伴避難所とも言える避難所でした。
対象は益城町の被災者とペットで、当時の益城町の避難所と比較すると、個別のシャワーが利用出来たり、プライバシーも確保されていたり、良い環境でした。
ペットたちは室内に並べられた基本的にはゲージで暮らしますが、それは他の室内同伴でもほぼ同じ状況です。
飼い主の環境も良く、同じ建物内でペットと避難生活を送る事が出来た施設。
でも、結局、そのスタジアムには一頭もペットが来る事はなく、専用避難所は閉鎖されたのです。
一番の理由は「距離的問題」でした。
スタジアムは益城町から車で30分少しかかる場所にありました。
災害時、指定避難所にはその周辺の地域で被災した人たちが避難して来ます。
つまり、地域コミュニティがそのまま避難所に移動するのです。
災害時の地域コミュニティは「共助」と云う大きな力を発揮します。
同じ境遇の被災者同士が、元々の地域コミュニティの住人同士で助け合う姿は熊本のあちこちで見られました。
如何にペットと飼い主が暮らす環境が良くとも、ペットも飼い主も地域コミュニティから切り離されてしまっては物事はうまく進んで行かないのです。
それがスタジアムに一頭のペットも入らなかった大きな理由だと思います。
大都市では専用避難所は有効かもしれませんが、地方でそれを作る事にはリスクも伴うし、作る余裕があったとしても、事前のニーズの把握は必要です。
作ったけど、利用者がなかったとなれば、その後の災害時の同伴避難所設置にも支障が出る事態になりかねません。
何より、同伴専用避難所はもちろん作る余裕があれば、設置するに越した事はありませんが、ペット防災の本質とは違うと云う事を私たちは認識しておくべきだと思います。

その3へ続く