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被災地への支援物資を送る際の注意点


被災地への支援物資について。 先ずは現地の人たちが何を必要としているのかを必ず確認してください。

災害時には時間経過により、必要な物が変わって行きます。 災害直後は必要だったフードの需要が交通網の復旧による店舗の再開で徐々に下がって行ったりします。

災害のストレスで食欲不振になったペットたちの食欲を増進させるきっかけとしておやつ類が必要となる時もあります。 意外と必要になるのが迷子札。 迷子札を着けていないペットが多く、所有者明示の為に熊本地震では大量の迷子札が必要となりました。

難しいのが「水」です。 水のペットボトルはとにかく場所を取ります。 現地の保管場所の状況も関係します。 SNSで支援物資をお願いすると、全国から多くの物資が一気に送られてくる場合があるので、保管場所が限られていたわんにゃんハウスでは「水」をお願いする場合はSNSには投稿せずに、個人的にメッセージを送ってお願いをして、送られて来る「水」の量を調整していました。

とにかく現地のニーズの確認が大事で、それをやらないとせっかくの善意が現地の支障となる場合すらあります。

また、ひとつの段ボール箱には「必ず一種類」の物資にする事。 例えば「猫のドライフード」「猫のウェットフード」「仔犬用フード」「老犬の療法食」の様にする事。 ひとつの箱にあれもこれも入れて送りたくなりますが、ひとつの箱に「犬用と猫用」「フードと衛生用品」等混在していたら仕分けがとても大変になります。 友人への支援を個人宛に送るのであればそれでも大丈夫ですが、避難所の同行避難支援をしているボランティアへ送る場合それはNGです。

そして段ボール箱の外側にマジックで大きな文字で内容物を明記する事。 物資の仕分けにはかなりの労力と時間を要します。 熊本地震では益城町総合体育館に支援物資を送ってもらい、そこで仕分けをして、各避難所へ配布していました。 段ボール箱の外側を見ただけで中身がわかれば箱ごと最初の仕分けをし、時間がある時に箱を開けて細かい仕分けが出来ます。 開けて見なければ中身がわからず、中に様々な物が混在していたら仕分けの時間は倍以上になります。 実際、熊本地震では最初の頃は仕分けだけで1日かかった事もありましたが、上記の注意点を全国に喚起したらとても仕分けが楽になり、その時間で飼い主やペットへの直接的な支援が行えました。

また、フードについては出来れば一つの袋に大量のフードが入ったブリーダーズパックよりも、大きな袋の中に更に一食分に小分けされた袋が入ったタイプの方が助かります。 ブリーダーズパックは開封したものを小分けする必要となる場合があるからです。 フードを配布する時、熊本地震では、飼い主さんたちは大きな袋を持ち帰る事を遠慮して、小分けにしたフードの方をよく持ち帰っていました。 もちろん開封済みのフードは送らないでください。

熊本地震での半年以上同行避難支援の現場の経験からです。 効果的な支援の為にご協力ください。

最後になりますが、被災地の人たちにとって全国からの支援は本当に心強いし、とてもありがたいです。 それは不足した物資を支援してくれるからでもあるけど、全国の人たちが被災地の事、被災者の事を想ってくれているその気持ちが嬉しいんです。 熊本地震での経験を次の災害に活かす事が、熊本地震の時の全国の人たちの恩義に報いる事だと思っています。

 


ガイドライン改定

「自助と公助」

環境省の災害時の同行避難に関するガイドラインが改訂され、予想通り飼い主の自己責任論が強調されました。
ただ、私たちは前提として災害時の同行避難対策には自助の為に飼い主自身が準備する事と、行政を中心とした同行避難支援の枠組み作りの二つがあり、その両方が平常時から準備されていなければ同行避難は成功しない事を認識しておく必要があります。

ガイドラインにある様に災害時の同行避難の基本は飼い主の自助が基本である事には間違いはなく、災害時の為に飼い主が備えておく事は動物と暮らす者として当然の事です。
ガイドラインの改訂によって「飼い主の自己責任論」が強調された事自体は正しい方向性です。
実際今まで飼い主の災害時の同行避難への備えは不十分で、それ以前に飼い主としての責任を全うしていない人たちがあまりにも多すぎるからです。
動物と暮らす人たちはそれ以外の人たちよりも災害時の備えが大変なのは当たり前の事です。

しかし、どれだけ飼い主が自助として災害時の同行避難への備えをしていても対応出来ない事はたくさんあります。
どれだけ飼い主が準備していたとしても避難所から仮設住宅までの同行避難だけを考えても、行政の役割は大きく、だからこそ地域防災計画に於いて自治体には同行避難支援と避難所における家庭動物の避難スペースの確保が求められています。

避難所内での事、仮設住宅での事、そこは行政の範疇であり、飼い主にはどうする事も出来ない事があります。
行政には法律やガイドラインで求められている形での同行避難支援が求められています。

でも実際に熊本地震で同行避難の検証を続けていて思う事は「行政の不作為」が確かに存在したと云う事です。

もちろん行政に出来る事には限界があり、行政だからこそ出来ない事もあります。
それは熊本地震で環境省や熊本県、益城町他多くの自治体と関わって理解しています。

しかしながら、それを理解した上でも熊本県の同行避難支援に対する姿勢には疑問が残りました。
準備不足や災害直後の混乱は仕方がないとしても、民間の協力を受け入れる姿勢、現場の情報を得ようとする姿勢、被災者の声を聞こうとする姿勢に関してとても大きな疑問が残りました。

効果的な同行避難支援をする事よりも、まるで余計な仕事を増やしたくない、今までの範囲の中でしか仕事をしない、そんな行政の姿勢を現場と行政の両方と関わったHUGは感じました。

例を挙げれば、仮設住宅で熊本県が「ペットの健康相談会」を開催した事がありました。
520世帯が入る大きな仮設団地です。
ペット飼育世帯は100世帯を優に超えます。
しかし相談会に訪れた飼い主は10人ほどでした。
何故そうなったのか?
理由は簡単です。相談会のお知らせが団地内にたくさんある掲示板のうちの数か所にしか貼り出されていなかったからです。

また、環境省が同行避難した飼い主へ丁寧に聞き取り調査をしたのにも関わらず熊本県はそれも行っていません。

ボランティアの力を借りて全ての掲示板に告知をすれば多くの飼い主が相談会に参加したでしょう。
仮設住宅に移ったばかりで同行避難していた飼い主は様々な不安を抱えていたのですから。

同行避難支援の枠組みを作り上げる為には同行避難した飼い主の声を直接聞く事は最低限やるべき事であり、地元で起きた災害を検証し、新たな対策を作る事は熊本県の責任でもあります。

「やれる事もやっていない」そう感じました。

何度も繰り返しますが、災害時の同行避難は飼い主の自己責任、つまり自助が基本です。
環境省のガイドラインがその方向性で改訂されたのも当然だと思います。

但し、ガイドラインにも行政の役割は明記されています。
その内容を行政がきちんと受け止めているのか?
ガイドラインにある様に民間団体やボランティアと連携して効果的な同行避難支援を行うつもりがあるのか?
自助が基本と云う事が強調された事が今後行政の不作為を助長しないのかが熊本地震の同行避難の検証を続けているHUGとしてはとても不安です。

熊本地震でも見られた様に同行避難支援の自治体間格差が出る事が予想されます。
だからこそ、HUGは熊本地震の検証結果を行政に伝え、行政がガイドラインに沿って、きちんと同行避難支援の枠組みを作る事を期待しているのです。

確かに行政にもやれる事の限界はありますが、同じ様に飼い主の自助にも限界はあるのです。
飼い主は精一杯自分のペットを守る為に自助の準備をし、行政は事前に災害時の同行避難支援の枠組みを作っておかなければならないのです。

そして、自助の準備をしている飼い主には行政の支援を受ける資格があると云う事です。

阪神淡路、中越、東北、そして熊本と災害の度に混乱して来た同行避難。
その度に悲しい別れがあり、その度に全国の人たちからの想いが被災地に寄せられて来ました。
飼い主だけではなく行政にも、過去の災害の経験を活かす責任があると思うのです。